ファンタジーの世界は F 音?

仮想世界はF音・ファンタジーの世界?

Fantasyの世界と言えば、ディズニーランドですね。


ディズニーランド、浦安にありますが、実は、

候補地として静岡の名前も挙がったそうです。

静岡ではなく、どうして浦安に決定したのでしょうか?


その理由をディズニーランドの人に聞いたことがあります。

「ディズニーランドは、夢の世界なので、

その中からは、外の景色(現実世界)が見えない

ようにしないといけません。

富士山が見える静岡県は、候補地として最後まで

残ったけど、お客様が富士山を見た瞬間、現実の

世界へ引き戻されることがあるため、浦安に夢の国・

ディズニーランドが建設されることになりました」


その人の説明では、ディズニーランドの中のどこからも

外の景色は、一切見えないそうです。


現実から切り離されたファンタジーの国・

ディズニーランドは、仮想の世界と言えそうですね。


仮想の世界・仮のことを英語で表現するとき、

「もし~ならば」という意味の「IF」という

単語を使いますね。


どうして仮想の世界のことを表現するのに

「IF」の音が選ばれたのでしょうか?

FantasyのFの音だから選ばれたのでしょうか?


今回は、「IF」の音について考えました。


まず、IFの「I」(イ)について考えました。

黒川伊保子先生による「イ」の説明を引用します。


(以下引用です)

I音は、舌の根元から中央に向かって、

強い緊張感を作って出す音で、強い前向きの力を

持っています。「いくぜ」「おい」と実際に口にして

みるとわかるように、I音は、口にした途端に身体が

ぐっと前に乗り出すような音です。

(以上引用でした)


黒川先生によると「イ」の音には、

「緊張感」と「前に乗り出す」感じがありそうですね。


では、次に大野晋編「古典基礎語辞典」から

「イ」の説明を引用します。


(以下引用です)

い:上代に用いられた接頭語。動詞に冠する。

語釈:①ずっと。延々と。遠くへ移動する動作、

遠くまで及ぶ動作についていう。

②ずっと。いつ終わるとも知れず続くさま。

継続する動作についていう。

(以上引用でした)


この説明、まるで進行形の「-ING」についての説明を

読んでいるようですね。


この説明によると、「い」には「継続する遠くまで及ぶ動作」

という語感がありそうです。


古典基礎語辞典からもうひとつ紹介させてください。

「今」の定義です。


(以下引用です)

今(いま):この時。現在。過ぎ去った時に

出来上がっていて、逃れようとしても、

逃れられない、過去という条件から、人間が

自分の意志・意向によって、まだきていない未来へと

事態を切り開いていこうとする瞬間をいう。

(以上引用でした)


「自分の意志・意向によって切り開いて

いこうとする瞬間」が「今」


う~ん、かっこいいですね。


総合すると、「イ」の音には、「自分の意思・

意向によって継続して遠くまで働く前向きの力」

という意味が込められていそうです。


「今」の「イ」の1音で現実の世界を表現しているようですね。


この「自分の意思・意向によって継続して

遠くまで働く前向きの力」Iの音と

止まる停止音のTの音が結びつくと、

「それは」という意味の「IT」になりますね。


ITの語感: 発言者の意思・意向が、

指し示したいものへと向かって行き(Iの音)、

そしてTの音で停止する感じですね。


ITと同じ「I」の音から始まるIFの「I」にも

「自分の意思・意向によって継続して遠くまで

働く前向きの力」という語感があるといって

いいような感じがします。あるいは、もっと

単純に「今」の「イ」と言っても良いかと思います。


では、「今」の「イ」の音にF音を加えてた

「IF」どんな語感があるのでしょうか?


「IF」の「F」は「OF」や「OFF」の

「F」音と同じで、「・・・から離れて」

という意味を表していると思います。


IFの語感: 「今から離れて」→「仮想世界」


Fの語感について、僕が印象に残っているのは、

同時通訳者で名高い松本道弘先生の言葉です。


松本先生は、「Fから始まる英単語には、

パッという語感がある」と話されていました。


確かにF音から始まる英単語にパッという

擬音語・擬態語をつけると意味が取りやすく

なるように思えます。


パッと燃える火 fire

パッと発する光 flash

パッと開く花 flower

パッと解放されて自由な free


どうしてFから始まる英単語にパッという

擬音語・擬態語がよく合うのでしょうか?

それは、F音は、P音から生まれたからだと

僕は思います。


アルファベット1音1音の語感を感じるために

ここで、例の笑っちゃうほど小さなステップを

実行しましょう!


STEP1: アルファベットの形を眺める

       P & F


PとF、形が似ていますね。

Pのプーと膨らんだ部分がパッと開いて、

Fの形になったように見えませんか?


Fの音は、Pの音から生まれたから、

パッという擬音語・擬態語がよく合うのですね。


IFの語感は、次のように言えるのではないでしょうか?


「今という現実からパッと離れて」→「一気に仮想の世界へ」


パッと頭の中に広がる仮想の世界(空想)をF音を使って

Fantasyと言いますね。


Fantasyの世界・ディズニーランド、周りの現実世界から

隔離するように作られていますね。


ディズニーランドの中から外の景色は見えません。まさに

現実からパッと切り離されたFantasy・Fの世界ですね。


僕たちは、仮想の世界の話をするとき、日本語でも、

事実から離れていることを伝えるために、「もし○○だったら」

という具合に、時制を過去へとずらします。


これは英語も同じです。現在のことに関して

想像をめぐらしているのなら、IFに続く文章の中の時制は、

現在の事実から離れている過去形になります。


過去の事実に関して想像をめぐらしているのなら、

IFに続く文章の中の時制は、事実であった過去から

離れている過去完了になります。


想像をめぐらしている仮定の話をするときには、

事実が存在する時制からひとつ過去時制へと離れるため、

「パッと離れている」語感があるF音が使われて、

IFになったんだろうと僕は想像しています。


これからは、「IF」と発音するとき、

パッと現実の世界から離れてみてはどうでしょうか?


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